ダンスの迫力のすごさがわかる(リトルダンサー@午前十時の映画祭)
リトルダンサーとは、バレエダンスに夢中になった少年の物語。バレエは女性のものという偏見と、男らしさを求める炭鉱夫の家族との摩擦に苦しみながらも、踊り続ける少年の姿が感動的な名作映画です。
そんな名作映画を1~2週間にわたって劇場公開するのが「午前十時の映画祭」です。asa10.eiga.com
劇場で見た「リトルダンサー」は、まさに劇場で見る価値のある作品でした。
あらすじ
舞台はイギリス。炭鉱夫の家庭に育つ少年ビリーだが、父と兄はストライキの待っ最中でピリピリムード。鬱屈した空気が家の中にも、街全体にも広がっています。
父に言われてボクシング教室に通うビリー。その最中、ちょっとしたきっかけでバレエダンスに出会い、父や兄には黙ってバレエダンスにのめり込み、ついにはバレエ学校のオーディションを受けないかと誘いを受けるまでになります。
「バレエなんてふざけるな!」という父親たちと、時に鬱屈した空気に負けそうになりつつも、それでも踊る少年の姿が感動的です。
大スクリーンで映える圧巻のダンス
ビリーが本編で踊るダンスは非常に荒削りで、スマートでクラシカルなダンスとは一味違います。しかしそれゆえに、ビリーがいかにダンスの才能があり、ダンスが好きかが伝わってくるようです。息を吸って吐くかのように踊ります。
作中後半、大好きなダンスへの道がすぐそこまで来ているのに、家庭の事情で思うように歩みの進まないそのうっぷんを爆発させるかのようにビリーが踊り続けるシーン。これが圧巻でした。
ミュージカル映画のような、本編の流れとつながっているような、いないような・・・というイメージクリップ的な向きもあるシーンでしたが、「踊りたい!」というメッセージを見るものに叩きつけるようなダンスです。
タップダンスも若干入っている印象で、ステップも踊りも分野もすべてを超えて、ただ思うがままに激しく踊っている姿に原初的な感動を覚えます。
ストライキ中の炭鉱夫の怒鳴り声やビリーのダンスなど、激しい動きの多いこの映画は劇場でこそ映える作品だったように思います。
家族愛に泣ける
ビリー目線で見ると、父親や兄の姿は偏見にまみれ、無学で高圧的で、あまりいい印象がないかもしれませんが、後半でやられます(笑)。無骨な家族ですが、家族を思う愛は根底にあることを思い知らされます。
しかし家族にバレエを見直させたのも、ビリーのダンス。隠れて踊っている姿を父親に見られたビリー。これまでなら硬直して体が動かなくなるところですが、意を決して父親の前で踊り始めます。
息子の姿と夢を認めた父は、これまでの頑なな態度を改め、ビリーの未来に向けて動き始めます。ダンスが持つ無言のメッセージの強さを感じられると思います。
ビリーの夢を認めた父は、前半の姿とはうって変わって、子どもの夢を応援するどこにでもいる父親に早変わり。オーディション後、そわそわと結果を待つ姿はほほえましさしかありませんでした(笑)。
結果を知った直後の行動は、ああ、この人はビリーの父親なんだなと素直に思えます。
2時間もあっという間。名作は劇場でも退屈しない
午前十時の映画祭に行ったのはこれが初めてでしたが、行ってよかったなと思える作品でした。公開されて時間も経っていますし、「レンタルでもいいかな」という気持ちは常にありましたから。
せっかくの機会だからと思って足を運んでみてよかったです。ちなみに料金は一律1000円で、通常の劇場作品よりお得。
それでもレンタルよりかなり割高なお金になりますので不安はありましたが、退屈しませんでした。「リトルダンサー」はテンポよく、サクサクと話が進んで行きます。
午前十時の映画祭は、全国各地で開催中です。スケジュールには二つのグループがありますので、よく確認しておきましょう。
なんか映画みたいけど、おもしろそうな映画もない・・・というとき、これを選んでみることをオススメします。